まず表紙を見て「よしながふみだ」と思い、タイトル『無罪世界』を読んでなんだか暗そうだけど木原音瀬だから面白そうと手に取る。
そして裏のあらすじを読んでいるときに「ん?」と不思議に思う。
ジャングル?むら?なにやらよく分からないけれど、とりあえず読んでみる。
そして読み進めるうちに、あれ、私はいったい今なにを読んでいるんだろう、BLじゃなかったっけ、あ、そうそうBLってファンタジーだからなんでもありなのよねと、自分を納得させなくてはいけなくなる。
『無罪世界』はジャングルで育てられ現代人としての知恵やマナーなど知らない本能的に生きている宏国と、詐欺まがいの仕事を繰り替えし借金に追われている宏国の従兄弟、山村との恋愛の物語である。
とんでもない設定を後悔しても遅く、なんだかんだ読んでいるうちに続きが気にいなってくるのが木原音瀬のすごいところだ。
攻めは借金まみれ、従兄弟を引き受けたら遺産が転がり込んで借金が返せるラッキーとか思っている最低なやつだが、受けは受けで、ジャングルで育てられているためなにを考えているのかさっぱり分からない。
本能的なので、どんなに不細工な無料逆援助サイトを見ているおばさんでも「女」と判断したら欲情するし、テレビはぶっ壊すし、攻めが風邪をひいたら奇妙な踊りを踊って(呪術師らしい)病気をなおそうとする。
怒涛の展開で読み終わったころにはぐったりと疲れてしまった。
ときおり暴力描写はあるし、受けをかわいいと感じるようになるまでなかなか道は長い。
普通の癒されるBLを求めている人には少々ハードルが高いかもしれない。
とはいうものの、こんなとんでもない設定のBLはそうそう現れない気もするので、一度読んでおいても損はないと思う。
もしかしたら新たな萌えの扉が開かれるかもしれない。

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